2025年1月21日火曜日

歌舞伎オンデマンドで「天守物語」を観た

 1月17日から配信されている歌舞伎オンデマンドの「天守物語」を観た。

玉三郎丈はこの作品に舞台、映像で40年以上関わっていて、作品それぞれにその時の解釈があったと思う。

今回の作品の良いところは、まず團子丈の玉三郎丈のセリフの受けが素晴らしいところだ。例えば、團子丈の図書之助が登場するシーン。富姫を遠くに見つけ害なすものとして身構えるのだが、富姫の「誰!」の一言で直ちに態度を改める様。そして、富姫の「もう帰すまいと、私は思う」という渾身の告白でへたり込む図書之助の様子。玉三郎丈の発話タイミングに対しての間が絶妙で、図書之助の様々な感情が渦巻いているのがわかる。


また、富姫に主従の道を説かれた後の間から彼が「けれど、鷹がそれました!」と訴える時のどうするこのもできない無念さ、「あれは私が取りました」から「ええ、お怨み申上ぐる」の團子の掛け合いにやりきれないくやしさやを観るとき、図書之介が、今までどこにもぶちまけることのできなかった現実の理想とかけ離れた主従関係に対する彼の本心が覗え、大いに同情するのである。

さらに、富姫、図書之助が目が見えなくなってからの、双方の手の演技が素晴らしい。打ち合わせはしているだろうが、視界が制限された中での探り合いの演技が真に迫っている。若く非力な図書之助は富姫の両手を握りしめることでしか彼女を支えることができないとわかっていて、ひたすらかたく握りしめている様はとても哀しいが美しい。富姫が図書の腕を引き寄せ抱きしめることを強いる姿も、彼女が27,8歳の等身大の女性と100年の世を見つめ続け老成した妖しの狭間で揺れているようで切なさがこみ上げてくる。



そして、目が開きラストになれば、図書之助は非力な若者から富姫を守れる立派な逞しい男性に成長していた。懐の深く見える着付けが良い。




素晴らしい舞台。観られてよかった。


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