スカラTVで配信された "L'Opera Seria" を観た。ヘンデル、グルックの後でモーツァルトの手前の頃の作品なので、綺麗な曲が沢山あって聴き応えがあった。特にバロック・オペラに比べてレチタティーヴォ・アッコンパニャートが多く尚且つ技巧的で聴いていて楽しかった。
作曲者のガスマンはグルックの後を受けて音楽史に登場するので、このオペラはドラマとして見ごたえがあるし、彼らの時代に18世紀前半のオペラがどう評価され、今後「オペラ」というジャンルをどうしたいのかが視覚的に理解できる演出だった。特に "Barbara~" のアリアのシーンではダ・カーポ・アリアが様式美にとらわれすぎていて、歌手でさえもカタルシスや高揚感を満たせないという不満が感じられる場面になっていて、興味深かった。
ミネッチャ(Mineccia), ザッゾ(Zazzo), アレグレッツァ(Allegrezza)はベテランの無駄遣いじゃないかと一瞬思ったのだが、この時代ではカストラートや男声トラヴェスティがもう流行らなくなっていたということだろう。しかし、三人はとても可愛らしかった。ムーミンに出てくるミィのようでいつまでも観ていたかった。
衣装で興味深かったのが、初めからこの興行に不満で最後にはトンズラする支配人にネクタイを着けさせたことだ。ネクタイはこの舞台の衣装のなかで最先端のファッションアイテムだ。これは彼がただ一人、時代を読める(オペラ・セリアは時代遅れ)人間として設定されているからだろう。
最期は、舞台が大コケで支配人にも逃げられて劇場に残された歌手達、作曲家、台本作家、その他関係者が「どこかで自分たちを受け入れてくれるはず」と奮起するのだが、初演上演当時の観客と現在の私達では解釈が異なると思う。答えは一つじゃない。
ガスマンの作品を集めたアルバムがあった。11番以降が "L'Opera Seria" のアリア
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