2023年12月28日木曜日

IL GIUSTINO Vivaldi – Drottningholm Court Theatre を観た


26日から配信が始まった Vivaldi, Il Giusutino
18世紀のグスタフ3世時代の装置を残した劇場で上演されたものだ。

動画は演奏と、装置を操作する裏方の技術者たちの作業風景を所々に差しはさんだ
ものになっている。舞台背景の展開や奈落、音響効果などの殆どが人の手によって
動かされている。一方で照明や録音、映像制作は現代の機械化されたもので
それらの対比は面白い。

さて、Il Giustino はコメディなのか軽めのストーリーで(キャラの掘り下げがそれほど
でもないのに3時間持たせるのはスゴイ)、舞台の演出は「グスタフ3世と仲間
たちが上演している」という設定だ。
アナスタジオを演じるグスタフ3世は Rffaele Pe ラッファエーレ・ペでお気楽な
お婿さんの皇帝とマイペースな王様を演じている。(王様はモブは嫌なので
出番以外は好き勝手をやっている)
"Vedro con mio diletto" と "Sento in seno" は聴かせどころだ。(グスタフが
ストーリーに関係なく歌っちゃいました、という演出だ)
敵役のアマンツィオを演じるのは Federico Fiorio フェデリコ・フィオリオで、
なぜだか演奏中セリが下がってしまったり照明がなくて裏方を呼びつけたりと
演出方と相性が悪く、芝居上での悪役は18世紀のリアルでも嫌われ者なのかしら、
と思ってしまうほどだった。
多分、人の手を借りているとこの様なミスがあったことだろうという考証なのだろう。
しかし、フェデリコの演技は細かく作りこまれていたので、画面から見切れてしまう
のは残念だった。
ユーリ・ミネンコ Yuriy Mynenko のジュスティーノは名を成すことに拘っている
割にアリアンナに言い寄っていて、意外と志の低いキャラだった。騎士としての
心得がないのだろう。
ヴィタリアーノ役のホアン・サンチョ Juan Sancho はいつもより高音域を使って
いてアグレッシブだ。

軽やかでファンタジーに進んだ舞台はラストで劇的に変わる。大団円の
仮面舞踏会のシーンはグスタフ3世暗殺事件が起きた場面のよう。スリリングだ。
ストーリー上は途中で翻意する仇役のヴィタリアーノだが、敗戦国の王であり、実は
ジュスティーノの兄と発覚した。ジュスティーノがアナスタジオの腹心になったのに
乗じて復権を図ろうとしたのだろうか。
さらに、アナスタジオのジュスティーノへの計らいに始終不満を持っている
アマンツィオがヴィタリアーノに接触を試みている。



そして、アマンツィオの一押しとヴィタリアーノの意思は、騎士ではない
(平民として生きてきた)ジュスティーノを暗殺者として拳銃を持ちアナスタジオの
背後に立たせて幕が降りる。発砲音に似せた本を閉じる音に反応するアリアンナ
(役のソフィア王妃)が意味深だ。
もしくは、仮面舞踏会はグスタフ3世の宮廷で、芝居の演者の中に暗殺者一味が
紛れていたのだろうか。
そういえば、第一場の終わりアリアンナがアナスタジオに忠誠を誓いながら死んで
いくと切々に歌う場面では、グスタフ3世は王妃ソフィア・マグダレナの姿と重ねて、
物見しながら立ち去ってしまう。
ここはグスタフ3世と不実の噂を立てられた王妃ソフィア・マグダレナとのすれ違う
夫婦関係を重ねているようだった。
このように、今回の演出はドラマとグスタフ3世の宮廷を行ったり来たりしている。
圧巻の演出だ。








2023年12月24日日曜日

Raffaele Pe ラファエーレ・ペが歌う "Vedro con mio diletto"

 X @OperaVision_eu でアップされた動画

Raffaele Pe ラッファエーレ・ぺが歌う "Vedro con miodiletto" from Vivaldi 。

聴くたびにインプロヴィゼーションに変化があって素敵。 

2023年12月23日土曜日

Introduction to IL GIUSTINO Vivaldi – Drottningholm Court Theatre


これはDrottningholm Court Theatre の構造を案内している動画。
背景の展開やセリの上げ下げなど全ての舞台装置が18世紀のままの人海戦術で
行われている。
今月配信される Il Giustino のカットも入っていて、雰囲気のいいドキュメンタリー
動画になっている。

        左, Federico Fiorio  右, Raffaele Pe

2023年12月20日水曜日

スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」

2024年2月から上演される スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」のビジュアルが公開

された。

 スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』ビジュアル公開|歌舞伎美人 (kabuki-bito.jp)


「日本神話にある日本武尊(やまとたけるのみこと)の伝説をもとに、哲学者の梅原猛が書き下ろし、二世市川猿翁(当時三代目市川猿之助)が主演・脚本・演出を手がけたスーパー歌舞伎『ヤマトタケル』は、今から37年前の昭和61(1986)年2月4日に新橋演舞場で初演されました。現代の人々に感動を呼ぶ作品を創造したいという、三代目猿之助の理想と熱意が生み出したスーパー歌舞伎。そのなかでも『ヤマトタケル』は、“歌舞伎でありながら歌舞伎を超えるもの”という舞台への思いが詰まった傑作であり、その後数々の名作を生み出していったスーパー歌舞伎シリーズの原点でもあります。

 

 今回の上演では、本年逝去した二世市川猿翁の思いを受け継ぎ、初演当時の演出や構成に改めて立ち返ります。さらに、初演と同じ2月4日に初日を迎え、新たな歴史の1ページが刻まれることになります。このたび公開されたティザービジュアルには、小碓命後にヤマトタケルと大碓命の2役を交互出演で勤める中村隼人と市川團子、兄橘姫と弟橘姫の2役を勤める中村米吉の姿が映し出されました。團子の祖父はスーパー歌舞伎の生みの親である二世猿翁。隼人の父・中村錦之助は昭和63(1988)年にヤマトタケルを演じており、親子二代で本役を演じることになります。米吉の父・中村歌六は初演より10回にわたり『ヤマトタケル』に出演しており、祖父と父からそれぞれたすきを受け取り、新しい『ヤマトタケル』を創造していく三人の姿に期待が高まります。次世代へと繋がれていくヤマトタケルの物語を、どうぞお見逃しなく。」




隼人さん、團子さん、米吉さん、お三方皆美しい。











Alois Mühlbacher/Franz Farnberger - Ich will auch mit gebrochnen Augen (...


久しぶりに Alois Muhlbacher アロイス・ミュールバッハの動画がアップされた。
清らかなパフォーマンスで心に染みる。

Mit Fried und Freud ich fahr dahin


Sacred cantata for Purification
Johann Sebastian Bach, 1725
bwv 125
より
Ich will auch mit gebrochnen Augen


2023年12月19日火曜日

Collegium Marianum: Allesandro Severo


Raffaele Pe ラッファエーレ・ペが出演している Handel: Alessanndro Severo の
トレーラーが見つかった。2023年5月、ハレ・ヘンデル・フェスティバルのものだ。
アリアは全て既出のものというパスティッチョだ。

こちらは不勉強なので、どのアリアがどのオペラから引用されたかなどは
さっぱりわからない。なので、できれば通して観たいと思う。
Raffaele Pe が自身のパフォーマンスを動画に頻繁にはあげてくれないので
なおのことだ。

こちらは舞台のフィナーレ



2023年12月12日火曜日

2023年12月11日月曜日

徳川家康と「ジュリアおたあ」とキリシタン 

「どうする家康」が最終回を迎える。新説を織り込んだりしたようで(それが

何かは勉強不足でわからないけれど)ほどほど面白く、第47回がいままでを通して

一番腑に落ちて面白かった。

ところで、勿体ないのは織豊政権から江戸幕府という間の出来事なのにキリシタン

については全く手を付けないストーリーだったところだ。家康の駿府時代は幕府の

キリシタンへの迫害が始まるころなので是非とも「どうする」と悩んで欲しかった。

これでは普通のいい人のままで終わってしまうではないか。

 駿府キリシタンの光と影 - 目次 (visit-shizuoka.com)

は家康の対キリシタンの姿勢がわかって興味深い。


2023年4月19日 駿府での家康に仕えていた「ジュリアおたあ」の書状が発見された。

家康に仕えた悲劇のキリシタン「ジュリアおたあ」 直筆書状を発見 [山口県]:朝日新聞デジタル (asahi.com)

“家康の小袖”と“ジュリアおたあの書状”報道陣に公開|NHK 山口県のニュース

ジュリアおたあ 予想外の人気/悲劇のキリシタン 萩博物館で書状公開 / 山口新聞 電子版 (minato-yamaguchi.co.jp)


おたあの書状

弟、村田安政・うんなき が拝領した小袖



2023年12月8日金曜日

Ah sì ben mio...Di quella pira - Diego Godoy, MAY 2023, JAPAN OPERA FEST...


Diego Godoy (ディエゴ・ゴドイ) によるマンリーコ(Il Trovatore) のパフォーマンスが
アップされている。奈良、法隆寺での舞台だ。
本人はとても気に入っていたようだ。


2023年12月4日月曜日

Federico Fiorio, La Florida Capella のアルバムがリリースされた

 

Sacri musicali affetti

Federico Fiorio (フェデリコ・フィオリオ)と La Frorida Capella (ラ・フロリダ・
カペラ)のアルバムがやっと発売された。9月頃アナウンスがあったのだけど、
ここでは手に入れることができなくて残念に思っていたが、デジタルで amazon
Presto Music で手に入るようになった。Apple MUsic, Spotify でも配信されている。

2023年12月2日土曜日

Innsbruck Festival 2024 のオペラが発表された

インスブルックフェスティバルのプログラムが発表され、オペラは以下の3作

Cesare in egitto / Geminiano Giacomelli 7.9.11 August 2024

 Cesare - Innsbrucker Festwochen der Alten Musik (altemusik.at)

Ottavio Dantone

Arianna Vendittelli

Emoke Barath 

filippo mineccia

Margherita Maria Sara

Valerio Contaldo

Federico Fiorio

Accademia Bizantina

アリアンナ・ヴェンディッテッリがチェーザレを演じる。


Ariannna / Geroge Friderid Handel 17,19,22 August 2024

Arianna - Innsbrucker Festwochen der Alten Musik (altemusik.at)

Angelo Michele Errico

Neima Fischer

Andrea Gavagnin

Ester Ferraro

Josipa Bilic

Mathilde Ortscheidt

Giacomo Nanni

Barockorchester:Jung

ナイマ・フィッシャー、マチルダ・オルシェード, アンドレア・ガヴァニン,と

ジャコモ・ナンニは Cesti Competition2023 のファイナリストだ。


Dido / Christoph Grauner 15,27 August 2024

Dido - Innsbrucker Festwochen der Alten Musik (altemusik.at)

Andrea Marcon

Robin Johannsen

Alicia Amo

Jone Martinez

Andreas Wolf

Jorge Franco

Jacob Lawrence

La Cetra Barockorchester





Sonia Prina の息子が歌手デビュー

 ソニア・プリナのインスタを見ていて彼女がロデリンダにジャンプインしたのを知ったが、彼女の息子、マッテオ・フェントロス君が歌手デビューしたそうだ。 この投稿をInstagramで見る EmozioNote(@emozionote)がシェア...