バイロイト・バロック・オペラ・フェスティバルでのオペラ「Pompeo Magno」を観た。
萌え袖衣装のファルナーチェと露出の多いアモーレ役のアロイス・ミュールバッハー君は眼福、耳福です。
カヴァッリのこの作品は
「ローマとの戦いに敗れたポント王ミトリダーテの死を知らされた妻イシクラテアと
息子ファルナーチェを捕虜としてポンペオはローマに帰還する。
ポンペオは寛大で二人を客人として敬意をもって遇し、穏便にポントを支配しようと
考えている。
ファルナーチェはそんなポンペオの崇高さに憧れて彼を慕う。
一方ポンペオの息子はイシクラテアを我が物にしようと接近するがイシクラテアは
ポント王の妻である誇りを忘れず貞操を守ろうとする。そうこうしているうちに
死んだはずのミトリダーテが生還し、ポンペオとミトリダーテは平和的解決のため、
ミトリダーテは王位をファルナーチェに譲りポントは自治権を取り戻す。」
という本筋のなかに庶民のガヤガヤがくっついて物語が進行していく。
物語は淡々と愉快に進むが、一つ一つのエピソードが史実と食い違っている。
ポンペオはストーリーを通じて始終偉大・寛大・寛容で栄光に包まれているようだが、
史実は結局チェーザレに暗殺される。
ファルナーチェはポンペオ大好きオーラいっぱいで振舞っているが、史実では
ポントスの支配権を保つために父親を売って一時はローマにすり寄り、結局はローマと
敵対する。
史実でのポンペオはチェーザレの娘ユリアを妻に迎えているが、物語では恋敗れて
スキピオに奪われる。(スキピオは多分スキピオ・アフリカヌスと思われる。
時代は違うがポンペオと同様に有能な人物だった)
またポンペオは女性に対して己を律していたらしく、ミトリダーテとの戦い後の
彼の愛妾たちを辱めることはなかったそうで、それが災いして息子セストが
イシクラテアに手を出そうとしたり、前述のようにユリアに逃げられたりする
という筋立てになっている。
このような矛盾はWikipediaを読んでもこれだけ見つかるので、専門的に史実を
知っていればさらに笑える舞台になるのだろう。
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