2023年9月21日木曜日

Orfeo ed Euridice Teatro Massimo di Palermo を観た 神話の演出について


Orfeo Filippo Mineccia Euridice Federica Guida Amore Nofar Yacobi Orchestra, Coro e Corpo di ballo del Teatro Massimo Maestro del Coro Salvatore Punturo Direttore del Corpo di ballo Jean-Sébastien Colau

テアトロ・マッシモ・ディ・パレルモ の「オルフェオとエウリディーチェ(グルック)」を
観た。 
始まりがエウリディーチェの葬式のシーンからだったので、読み替えなく進むのかと思ったら
オルフェオの妻が死んだという喪失感の克服と、エウリディーチェの魂の救済という
展開だった。
(この演出では多分エウリディーチェは自殺したようで、オルフェオはそのことを理由も
含めて認められずにいるようだ)
「死んだ人を復活させる」というおとぎ話をまじめに語るよりも、この演出は観客を
カタルシスへ誘う効果があって良かったと思う。

エンディングに次のメッセージが現れる
E la stessa cosa, che e viva morta, 
che e desta e dormiente, 
che e giovane e vecchia. 
Questa mutando e quello e quello mutando e di nuovo questa.

生きているのも死んでいるのも、起きているのも眠っているのも、
若いのも老人も同じことです。
あれも変わって、あれも変わって、またこれも。(google 翻訳)

「魂でつながって、認め合えればいい」って感じだろうか。


いつも感心するのは、フィリッポ・ミネッチャはセンシティブな役がとても似合っている
というか上手い。哀愁のある声がとてもいい。




2023年9月1日金曜日

Cesti Competition 2023 - Giacomo Nanni ジャコモ・ナンニ

youtube でチェスティ・バロック・コンクール 2023 ( Cesti Competition 2023) を
視聴した。このコンペティションは毎年行われていて、受賞、入賞の他にも、コンサートやオペラ出演などの特典があって、参加者には魅力的なコンペになっていた。

しかし、どうやら今年の受賞者にはバロックの専門外が見受けられた。
カウンターテナーは選外だったし、1位2位のソプラノとメゾの受賞者の過去の歌唱履歴
にはバロックはなかった。
いわゆるバロックな歌い方のソプラノは最年少だったのでヤング・アーティストという賞で
落ち着くことになった。

過去の結果も似たような感じで、カウンターテナーのロドリゴ・ソーザ・ダル・ポッゾも
カン・ミン・ジャスティン・キムも選外だし、アリアンナ・ヴェンディッテッリは
オーディエンス賞だった。初期に参加したアルバムの評が「バロックではない」と
一部で言われたジュリア・セメンツァートは2位になっていて、
ヴェンディッテッリは後にセメンツァートのような歌唱スタイルになっている。

確かに最近のバロック歌唱は程よい装飾をする方向性なので、それに倣っているのかも
しれないが、レパートリーじゃないのに賞ほしさに歌うというのもどうかと思う。

さて、3位はバリトンのジャコモ・ナンニが受賞した。コンペを通して彼が一番こなれて
いたと思う。イタリア人なのでディクションに一日の長があるとはいえ、奇をてらった装飾
が無いのが反って誰よりもエレガントだった。
驚いたことに彼は9月18日までロッシーニ・フェスティバルで「ランスへの旅」に出演
していて、その後22日からコンペ入りして27日の決勝に臨んでいる。さらに、彼は以前から結構舞台に立っていて、今回のコンペも連続した仕事(舞台)をこなしただけという風
である。経験のおかげでペース配分や気持ちの切り替えが長けていたのだろうか。舞台、舞台のその時その時のベストを引き出す術が身についているようだ。
コンペだけに集中していたら、もっと上位を狙えたかもしれない。


Giacomo Nanni (ITA) - "Volate piu dei venti" (George Friedrich Handel "Il Muzio Scevola")

Volate piu dei venti              Fly faster than wind,
Momenti che scorrete          You moments that mast elapse 
Innanzi al mio piacer.           Before I fulfill my desires.

Ma siate lenti, lenti              But be slow, so slow,
Momenti che verrete            You moments that will come 
Segnendo il mi goder.          Once I enjoy my plesure.


Agrippina (George Friedrich Handel)
ジャコモ・ナンニはパランテを演じている




2023年7月27日木曜日

市川中車とか香川照之とか

「ミレール」という動画配信サイトで6月の歌舞伎座の演目「傾城反魂香」を観た

 三代猿之助四十八撰の内 傾城反魂香 土佐将監閑居・浮世又平住家 | MIRAIL 公式動画配信サービス(ミレール)

「吃又」とも呼ばれる演目で、吃音のある絵師が師匠に認めてもらえず、

弟弟子にも先をこされ死を選ぼうとするが、最期に描いた絵で師匠に認めてもらえる、

という話


そして、その前に観たのがこちら 「瞼の母」

【楽天市場】歌舞伎特選DVDコレクション 48号 瞼の母歌舞伎 KABUKI 歌舞伎座 日本 江戸 海外土産 プレゼント ギフト 伝統芸能 DVD 舞台 hachette アシェット 歌舞伎DVD まぶたのはは 中車松竹歌舞伎屋本舗:松竹歌舞伎屋本舗 (rakuten.co.jp)

こちらは幼いころ生き別れになった母に30年後に出会い、親子の名乗りをしたいと願うが

受け入れてもらえない男の話


どちらも香川照之の人生そのものだなあと見てしまう。彼は三代目の実子なのに子として

受け入れてもらえない時期があった。そして、親子関係が修復したからと言って、

今となっては彼はどうあっても猿之助にはなれない。

「吃又」で苗字を名乗れるようになった又平の時だけ彼はしあわせだ。


こちらは俳優・香川照之の映画 「宮松と山下」

Amazon.co.jp: 宮松と山下を観る | Prime Video

かつてブラコンとシスコンを拗らせていた兄妹が、兄の記憶喪失と失踪の12年を経て

各々の居場所を見つけ人生を歩み始めるという話。


兄妹の関係は香川の母子、父子、母のかつての交際相手との関係から生まれた感情を

落とし込んでいるようだ。

生々しい演技が香川らしくていい。



騒動があって彼は今後「市川中車」一本で生きていくと思うが、「香川照之」の姿も

まだまだ観たいと思う。




2023年6月23日金曜日

Aci, Galatea e Polifemo Hendel -Aliverta


Raffaele Pe, ラファエレ・ペ が監修した Aci, Galatea e Polifemo がアップロード
されていた。
演出家ジャンマリア・アリベルタが手掛けた作品なので、彼の好意で公開してくれたようだ。
ありがたいことである。

2023年6月22日木曜日

ディエゴ・ゴドイがフランスの musique en fete に出演した

ディエゴ・ゴドイがアレゴリカマネージメントを離れてしまい、どうしているかと思ったら
来日してました。
法隆寺でのオペラにジャンプインしていたのです。






今後はもっと歌声が聴けるとうれしいです。

2023年6月21日水曜日

2023/6/3 Ex Novo アレッサンドロ・スカルラッティ/オラトリオ《カイン または 最初の殺人》オンライン・プレトーク(三ヶ尻正)〜...

三ヶ尻正氏がアレッサンドロ・スカルラッティの解説をしていた。


スカルラッティの作品はキャラクターの心情をリアルに描き出していて、氏の言葉で言うと
「えげつない」のだそうだ。
確かにグリセルダがこれでもかという程の悲壮感に溢れていているのはそういうわけか、と
妙に納得。

2023年6月16日金曜日

スカルラッティのグリゼルダを観て

Rffaele Pe, ラファエレ・ペ が出演した "Griselda" の感想がまだだったので、

少しばかり残しておく。



ストーリーはデカメロン十日目最終話の物語を軸にしている。 

Decameron Tenth Day, Tenth Story | Shmoop

デカメロンの話は滑稽話である。愚かな領主の無茶苦茶な話。

それをオペラはグリゼルダの受難と領主の苦悩の話に読み替えて作品が出来上がって

いる。

なので、領主の妻への無理やりな仕打ちがしつこすぎて呆れるし腹が立つし、

耐え続けるグリゼルダも可哀そうを通り越してイライラしてくるし、尚且つデカメロンには

ないグリゼルダの娘の悲恋もオペラのお約束でサイドストーリーとしてくっついているの

で、鬱屈した作品に仕上がっている。最後にグリゼルダが報われても「それだけ?」

というカタルシスのなさである。

しかし、デカメロンの時代背景を鑑みれば、領主にとって領民(の娘)なんぞ人ではなく

物扱いなのは当然なのかもしれないし、領民の忠節は絶対で散々な仕打ちに耐えるのは

当然で、グリゼルダが最後にやっと新しい領主の妻(実はグリゼルダの娘)は高貴な家の出

なのだから、自分のように扱わないで欲しいと訴えるのは、彼女の支配者に対する唯一で

精一杯の抵抗だったのに違いない。本当はそこであっぱれと感動しなくちゃいけないのだろ

う。

とにかく、しんどい重たい可哀そうな話の二本立てなので泣き所が見極められなかった。

我慢し続けるグリゼルダ役のレミージョも始終重苦しく歌わねばならないようで

可哀そうだった。

そう、登場人物のほとんどが自分の本音を押し殺しているので(歌う)のでモヤモヤする

のだ。

唯一、ロベルト役のミリアム・アルバーノが領主の妻になるであろう姫への恋心を

(拗らせながら)歌うので、そこは共感できるところだった。

要は、ストーリーと演出はどうなのよ?であるが、それでも綺麗な声で感情にまかせず

歌う歌手陣は凄いのである。

アンティークジュエリーを買うにあたって思うこと

 某SNSでアンティークジュエリーディーラーと購入者の間で行き違いによるトラブルがあった。 購入者はディーラーのサイトから指輪をサイズ変更をして購入した。が、その後購入者が指輪に所謂ホールマーク等刻印がないため、品質に疑問を抱きディーラーへ説明を求めたが、その時のディーラーの対応...