2025年7月1日火曜日

ガルッピ (Baldassare Galuppi) の " Didone Abbandonata " を聴いてみた。

  ポツダムの音楽祭でガルッピの "Didone Abbandonata" がコンサート形式で演奏された。上演の情報しかなかったのだが、演奏当日にエネアス役のフェデリコ君のインスタグラムのストーリーズでラジオ中継されることがわかり、真夜中眠りに落ちるまで聴いてみた。

Didone Abbandonata の脚本はピエトロ・メタスタジオが書いており様々な作曲家が作品に仕上げている。以前観たレオナルド・ヴィンチのものはとても内面的でドラマチックな仕上がりだったのだが、このガルッピの作品は軽やかで華やかな印象だった。また歌手の起用の仕方も異なり、ヴィンチのほうではカウンターテナーに技巧的な華やかさを持たせていたが、ガルッピのものではテナーがその役割を担っていた。時代が下るにつれ聴衆の嗜好が変わってきたのだろう。(同時代のガスマンの「オペラ・セリア」はカウンターテナーの役割が小さかった) 

歌手陣は Roberta Mameli が降板していた。フェデリコ君のソプラノは女声と比べても遜色がなく、無理のない響きの美しい仕上がりだったし、ミネッチャの聞いただけで彼とわかるアルトは、男声としての存在感が役とリンクしていた。テナーはバロックのカストラートのように技巧がふんだんに盛り込まれたアリアを歌って拍手を沢山もらっていた。

耳だけで聴くのも一興だった。

6月30日現在以下で演奏が聴ける

https://share.deutschlandradio.de/dlf-audiothek-audio-teilen.html?audio_id=dira_D1956504559211F0771548DF3755BF60

Natalie Pérez Dido
Federico Fiorio Enea
Alexandra Tarniceru Selene
Joshua Sanders Iarbas & Nettuno
Carlotta Colombo Araspe
Filippo Mineccia Osmida

NEREYDAS

Ulises Illán Musical Director



2025年6月29日日曜日

I tre controtenori (the three countertenors)

 https://www.raiplay.it/video/2023/10/I-tre-controtenori---Chesara---Puntata-del-01102023-27617c99-b1dd-4721-8561-e7c43a37787f.html?wt_mc=2.www.cpy.raiplay_vid_Chesara.

前回アロイス君とベジュン・メータのデュエットの動画を楽しんだのだが、2年前にはRaffaele Pe, Carlo Vistoli, Aryeh Nussbaum Cohen も"Sound the Trumpet" を歌っていたことを思い出した。

このころ3人はローマ歌劇場で "Giulio Cesare" に出演していて注目を浴びていた。動画の冒頭では "O sole mio" も披露している。

Raffaele Pe は地元の強みか、ちょっとテンションが高い。

Vistoliはお馴染みの歌手なのか落ち着いている。

この頃から Aryeh のヨーロッパでの活動が活発になっていった。ちょっと緊張しているようだが楽しそう。

そして三人三様のスタイルで今も活躍している。


Raffaele Pe の来シーズンの活動はオペラを含めてあまり聞こえてこない。本人自身のサイトも無くなり、La Lira di Orfeo との活動に重きを置くようだ。

コンサート活動とかフェスティバルへの参加がメインになるのか、こちらから彼の動向をキャッチするのは難しい。

今期は寂しくなりそうだ。





2025年6月27日金曜日

OperaWire: Q & A: Soprano Federico Fiorio On Performing Monteverdi’s ‘I Grotteschi’ And On His Work With Karalis Antiqua

Q & A:  Soprano Federico Fiorio On Performing Monteverdi's 'I Grotteschi' And On his Work With Karalis Antiqua

OperaWire に フェデリコ・フィオリオ君(Federico Fiorio)のインタビュー記事が掲載された。内容は最近出演した " I Grotteschi " と彼が結成したアンサンブルグループ "Karalis Antiqua "の活動など。

彼はインタビューの中で " I Grotteschi "のことを「メロドラマ (soap opera)」と言っている。モンテヴェルディの3作をただ読み替えたものではないのだそうだ。確かにフェデリコ君の役は元のドラマの誰にも比定できなかった。そして、彼が舞台の最初に登場するということは、この後進行していく劇のどの人物もモンテヴェルディのキャラクターをイメージしてほしくないというメッセージをもっていたということだ。

また " Karalis Antiqua "についても熱心に語っている。彼は歌手だけに留まることなく音楽活動したいそうだ。実際グループではディレクターで、ハープシコードを演奏している。

今月になってフェデリコ君は Allegorica Opera Management を離れた。多分、彼が歌手に留まらない自由な活動を望んでのことだったのだろう。(Raffaele Pe の活動に似ている。彼はAllegorica 時代も離れた後の動きもとてもユニークだ。)

記事に掲載されているフェデリコ君の写真は、デビュー当時の妖精的な少年っぽさと比べて随分逞しく男らしくなった。彼の進化がとても楽しみだ。


2025年6月21日土曜日

Purcell "Sound the Trumpet" Bejun Mehta and Alois Muhlbacher

現在 アロイス君(Alois Muhlbacher) は、 Broque Festival St. Polten の芸術監督として参加している。

そして 20日のオープニングコンサートでカウンターテナーのベジュン・メータとデュエットを披露した。

Opening Concert - Baroque Festival

なんとも典雅な "Sound the Trumpet " である。

2025年5月17日土曜日

La Monnaie De Munt, "I Grotteschi" モネ劇場上演の「グロテスク(モンテヴェルディ作品による)」を観た

モネ劇場が先ほど上演した「グロテスク( I Grotteschi )     」を投稿してくれたので視聴した。作品はモンテヴェルディの「ポッペアの戴冠」「ウリッセの帰還」「オルフェオ」の3作品を使って再構築したパスティッチョで全幕6時間のものを二夜に分けて上演している。




ある一族三代の内部抗争を描いた作品だが、あらかじめモンテヴェルディ3作品のオリジナルを観ていた方がストーリーがわかりやすく、腑に落ちるのではないかと思う。

Cast

Fortuna       Giulia Semenzato

Privilegio    Matthew Newlin

Virtu              Raffaele Lupinacci

Constanza   Stephanie D'oustrac

Coraggio      Jeremy Overden

Melancolia   Mark Milhofer 

Carita              Arianna Vendittelli

Giudizio         Giustiniani

Impazienza   Jessica Niles 

Capriccio        Federico Fiorio

Sapienza        Jerome Varnier 

Esperienza     Xavier Sabata

相関図 Who's who? | in I Grotteschi | La Monnaie / De Munt


 

2025年5月11日日曜日

Gasparoni 'Ambleto' rewiew ガスパリーニ「アンブレート」ステージ評

アン・デア・ウィーン劇場の「アンブレート」のステージ評が出ていた。

 » WIEN / MusikTheater an der Wien: AMBLETOOnline Merker

記事によると「アンブレート」は作品の多くが欠落されていたので、再構築を試みたものだという。

アリア以外の旋律等は後世に引き継がれなかったそうだ。

これは「アンブレート」の元になった伝承。シェークスピアの「ハムレット」もこれを基に作られた。

デンマーク人の事績 - Wikipedia

Gesta Danorum - Wikipedia


ラッファエーレ・ペは過去ヘンデルの "Aci, Galatea e Polifemo;  HWV 72b" を蘇らせた経験があるので、こういった試みには意欲的だと思う。

評によれば観客はこういった努力に好意的だったようだ。




2025年5月10日土曜日

フィリッポ・ミネッチャとネレイダス Filippo Mineccia with Nereydas "Siface L'amor castrato"

 


今回ネレイダス演奏の「捨てられたディド」にフィリッポ・ミネッチャが参加するが、
彼らは以前にも共演している。これがそのアルバム。
シファーチェと呼ばれた人気カストラート、ジョヴァンニ・フランチェスコ・グロッシの
人生を描くというテーマで制作されたアルバムだ。


ストラデッラが同時代の音楽家で彼の作品にも関わっていたシファーチェだが、このアルバムが彼の曲をメインに構成されているところをみると、シファーチェ本人も相当やんちゃだったのかもしれない。

ガルッピ (Baldassare Galuppi) の " Didone Abbandonata " を聴いてみた。

  ポツダムの音楽祭でガルッピの "Didone Abbandonata" がコンサート形式で演奏された。上演の情報しかなかったのだが、演奏当日にエネアス役のフェデリコ君のインスタグラムのストーリーズでラジオ中継されることがわかり、真夜中眠りに落ちるまで聴いて...