2021年5月31日月曜日

ラッファエーレ・ペー主演のリナルド(ブルーレイ)

 とうとう手に入ったリナルドのブルーレイを観た。

この作品は去年のフィレンツェ5月祭の演目で、COVID-19 のロックダウンによって延期に

追い込まれ、9月にやっと幕が開いたというものだ。当初の配役がジュリア・セメンツァート

からフランチェスカ・アスプロモンテに変更されている。


https://www.maggiofiorentino.com/events/rinaldo-3/


指揮はヴィヴァルディ研究の第一人者でバロック音楽専門かつ、画家、小説家など

マルチに活動しているフェデリコ・マリア・サルデリ、演出は今年90歳になる

ピエール・ルイジ・ピッツィ。

ピツッイのこのリナルドの演出は35年前が初演で、今回まで男性が主演をすることが

なかった。また、イタリア人のカウンターテナーがイタリア国内で主演を任されるのも

ペー氏が初めてなのだ(と思う)。きっとエポックメイキングな作品になったことだろう。

ペー氏の声は高音でも太く、パワフルで男性としてリナルドを見ることができて安心できる。

メゾとかアルトで見ると、女っぽさがチラチラ垣間見え、男を演ずるのに無理してる感が

あったりする。(いや、ソニア・プリナは吹っ切れていて清々しいくらいの出来だけれど)

また、いわゆる昔のカウンターテナーではなよやかなイメージがつきまとって、勇者には

見えない。

そういう意味でペー氏は適役だと思う。

演出で褒めたいのは黒子さん達だ。役者達は美術館の彫刻像という設定なので、台座ごと

人力で移動させることになる。役者と大道具を一気に動かす(これは重いぞ!)、しかも中腰が

ほとんで、衣装の大きな布地をはためかせるように見せるのも手仕事だ。

それを同時にチームワークでやってのける。演者が4つ巴になる時のタイミングの取り方

なんぞ考えたら、どれだけ大変だろう。本当に労ってあげたい。

オケピットは和気あいあいとしている。ホール全体がそうなのだが、役者の歌が終わるたびに

拍手が沸く、オケもだ。

最後に、ペー氏の5月祭は2回目だ。何度でも呼ばれるいい役者になったなと嬉しく思う。



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