とうとう手に入ったリナルドのブルーレイを観た。
この作品は去年のフィレンツェ5月祭の演目で、COVID-19 のロックダウンによって延期に
追い込まれ、9月にやっと幕が開いたというものだ。当初の配役がジュリア・セメンツァート
からフランチェスカ・アスプロモンテに変更されている。
https://www.maggiofiorentino.com/events/rinaldo-3/
指揮はヴィヴァルディ研究の第一人者でバロック音楽専門かつ、画家、小説家など
マルチに活動しているフェデリコ・マリア・サルデリ、演出は今年90歳になる
ピエール・ルイジ・ピッツィ。
ピツッイのこのリナルドの演出は35年前が初演で、今回まで男性が主演をすることが
なかった。また、イタリア人のカウンターテナーがイタリア国内で主演を任されるのも
ペー氏が初めてなのだ(と思う)。きっとエポックメイキングな作品になったことだろう。
ペー氏の声は高音でも太く、パワフルで男性としてリナルドを見ることができて安心できる。
メゾとかアルトで見ると、女っぽさがチラチラ垣間見え、男を演ずるのに無理してる感が
あったりする。(いや、ソニア・プリナは吹っ切れていて清々しいくらいの出来だけれど)
また、いわゆる昔のカウンターテナーではなよやかなイメージがつきまとって、勇者には
見えない。
そういう意味でペー氏は適役だと思う。
演出で褒めたいのは黒子さん達だ。役者達は美術館の彫刻像という設定なので、台座ごと
人力で移動させることになる。役者と大道具を一気に動かす(これは重いぞ!)、しかも中腰が
ほとんで、衣装の大きな布地をはためかせるように見せるのも手仕事だ。
それを同時にチームワークでやってのける。演者が4つ巴になる時のタイミングの取り方
なんぞ考えたら、どれだけ大変だろう。本当に労ってあげたい。
オケピットは和気あいあいとしている。ホール全体がそうなのだが、役者の歌が終わるたびに
拍手が沸く、オケもだ。
最後に、ペー氏の5月祭は2回目だ。何度でも呼ばれるいい役者になったなと嬉しく思う。